一番変わったこと(2008年02月02日)

木村 美耶子 (キムラ ミヤコ)
法学部政治学科
第46回「黒八丈物語」番組プロデューサー

 「ディレクターと番組プロデューサーをやって、一番変わったことは何ですか」
十一月放送のディレクターと二月放送の番組プロデューサーを終えて、先生から尋ねられた言葉だ。そのときはうまく答えることができず、曖昧にはぐらかしてしまったが、これは私自身、ずっと自分に問い続けてきたことだった。
 思い返すと、十一月のディレクターのときは、ただ焦っていた。完成させなければならない、失敗はできない、迷惑をかけたくない。募る思いが空回り、苛立ち、落ち込んでばかりいた。そして何より、周りの人たちに頼りきっていることが怖かった。支え、励ましてくれる人たちも、本当は迷惑を感じており、そのうち愛想をつかされてしまうかもしれない。そう思い、もっとしっかりしなければと思うのに、頼るしかない能力のない自分が情けなかった。
 では、二月の番組プロデューサーのときはどうだったのだろう。確かに、同じように焦りはあった。スケジュール的にはギリギリだったし、私が作る予定になっていたスタジオの部分に関しては、全く自信がなかった。ただ、今回は番組自体が完成できないかもしれないという不安には襲われなかったように思う。むしろ、絶対にできると信じて疑わなかった。
それはなぜか。最大の理由は、周りにいてくれる人を信じられたことだと思う。今回は、どんなに些細な不安でもすぐに相談し、どんなに愚かしいミスをしても前向きでいられた。自分のできないところ、足りないところを誰かに補ってもらえることが、純粋に嬉しかった。
 これが、十一月との最大の違いだった。私が一番変わったところは、「人を信用できるようになったこと」だったのだ。以前の私は、人の好意すらマイナスに捉えるところがあり、その人の好意の裏にある感情を読み取ろうとしていた。実際のところ、そんなものはほとんど存在しないと思うのだが、勝手に想像して、一人でマイナス思考の連鎖に陥っていた。このため、人に意識的に頼ったり、何かを頼んだりすることが苦手で、そうせざるを得ない状況は苦痛だった。嬉しく、ありがたいことであると感じるのに、情けない、申し訳ないという思いが強く残ってしまっていたのだ。
 しかし、今回は自然と自分から人に助けを求めることができた。周りにいてくれる人を信用できるということは、一番根本的なことであるが、できるかできないかで過程にも結果にも大きな違いが出てくるものだと思う。絶対に大丈夫だと信じて進むことと、不安に揺らぎながら手探りで進むことには、雲泥の差がある。
 この人たちと一緒ならきっと上手くいくと信じられることは幸せなことで、かつ必要なことだ。しかし、それに一方的に依存しすぎるとただの甘えになってしまう。だから、今度は少しずつでいい、人から信用されるように、そして何より、自分で自分を信用できるようになっていこうと思う。

投稿者 webmaster : 2008年02月02日 00:00|

コメント

コメントしてください




保存しますか?