浅川の夢を探して(2008年02月01日)

森 麻美 (モリ アサミ)
総合政策学部国際政策文化学科
第46回「夢」ディレクター

私は、今回、二月放送のショートVTR企画「夢」を制作した。最初、この企画のディレクターを頼まれたとき、「ショートVTRだからなんとかなるだろう」と、甘えの気持ちがあった。道行く人に、「あなたの夢は何ですか」と尋ね、カメラに向かって言ってもらうことがそれほど大変だとは思っていなかった。場所は、カワセミなどの野鳥が多く見られる浅川に決めた。前々からゆったりとしていて、晴れている時は景色もいい場所だと思っていたからだ。
撮影初日は、特に大きな気負いもなく臨んだ。最初は、簡単に撮れると思っていたが、いざ撮影を始めると、なかなか難しい。怪しんで行ってしまう人もいれば、話はしてくれるが、カメラを出すと撮影を拒否してしまう人もいる。よく考えれば、道端で急に「夢」を聞かれて答えることに抵抗がない人は少ないだろう。しかし、その日は休日ということもあって、人通りが多くなんとか八組の「夢」を撮る事ができた。
撮った素材を後から見てみると、何かしっくりとこない。撮ったときは「これでよし」と思ったものが、なぜかおもしろくないのである。その要因は、自分の取材不足にあった。夢の理由を深くまで聞いていなかったのだ。通り道だからあまり多くの時間をとらせてはいけない、なるべくたくさん撮らなければ、という気持ちが、私に取材相手とのコミュニケーションを怠らせていた。五分やそこらで聞き出した夢は、なんだか薄っぺらなものに聞こえて仕方がなかった。
もう一度撮影に行くことを決め、今度は自分の中でテーマを決めて臨んだ。浅川の晴れたイメージ、さわやかなVTRにしたいというテーマを軸にして、二度目の撮影に臨んだ。今度は一人ひとりの取材に時間を割いて、その人の夢の深い部分まで聞き出す努力をした。最初は渋っていても何度も質問をぶつけていくうちに、多くの人が自分の夢を語ってくれた。一番印象に残っているのは、「もう夢なんてないよ」と言い張っていた五〇代くらいのおじさんが、いろんな会話をしていくうちに、「この五〇年浅川の近くに住んでいて、これから先もこの自然を大切にしていきたい」という夢を語ってくれたことである。最後には、寒空の中撮影に励んでいる私たちに向かって、「がんばってね」と言ってくれた。普通に歩いているだけでは絶対に話さない人と、夢を話すまでの仲になれたことを本当に嬉しく思った。
この撮影を終えて、コミュニケーションの重要性を感じた。たくさんコミュニケーションをとることによって、言葉は短いけれど、その背景にたくさんの思いが詰まっていることがわかる。それは言葉ではなく、表情や話し方などに現れてくるのではないだろうか。夢を語っている人の表情はとてもさわやかで素敵だった。「さわやか」という自分のテーマに合ったVTRになったと思う。

投稿者 webmaster : 2008年02月01日 00:00|

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