伝えたい思い(2007年09月01日)

森 麻美 (モリ アサミ)
総合政策学部国際政策文化学科
第41回「絹の道でつなぐ八王子織物」レポーター

今回私は、八王子に古くから伝わる織物業の番組で、レポーターを務めることになった。
レポーターという仕事は初めてで、最初は、「自分がテレビに映っていいのか」という事や、「カメラの前で緊張せずに話す事ができるのか」という不安でいっぱいだった。しかし、織物職人の澤井榮(えい)一郎(いちろう)さん(86)のご自宅へ何度も伺い、取材をするうちに、そんな不安はなくなっていた。
澤井さんの口から出てくる言葉には一つ一つに重みがあり、多くの思いが込められている気がした。それは、「本物」を作る事にこだわる、職人さんの熱い思いだった。いつの間にか、自分自身の不安より、澤井さんの思いを伝えたいという気持ちの方が、大きくなっていた。
ディレクターや先輩たちと何度もミーティングを重ね、番組の一番の肝はレポーターの織物体験という事になった。しかし澤井さんは、「これは素人に出来るものじゃないから」と言って、私に織機(しょっき)を触らせてくれなかった。どうしても体験できないものかと何度もお願いをしたが、やはり澤井さんの返事は変わらなかった。職人さんの仕事は他人が簡単にできるものではないし、簡単に理解できるものではないという事を感じた。それほどの澤井さんの織物に対する思いを、果たしてカメラの前で引き出す事ができるのだろうか。取材して得たものを、たった数回の質問で伝える事ができるのだろうか。澤井さんの思いを知れば知るほど、それが私に大きなプレッシャーとして、のしかかってきた。
 撮影当日、私はレポーターとして、澤井さんと積極的にコミュニケーションをとる事と、明るく接する事に気をつけた。澤井さんの思いを上手く引き出すには、自然に会話が出来ていないといけないし、自分が明るくレポートしなければ、澤井さんにも不安が伝わってしまうと思ったからである。撮影は怒涛のように過ぎていった。結局、織物体験はさせてもらえなかったが、澤井さんはカメラの前で、「織物は私の命です」と言った。彼の織物に対する思いは、しかと伝える事ができたはずだ。
今回、レポーターの経験を通して学んだ事は、カメラの前での振舞い方である。自分が相手と自然に話すようにすれば、相手もそれを感じ取って自然に思いを語ってくれる。コメントの仕方や、カメラへの配慮など、まだまだ反省点はあったが、レポーターとしての大きな一歩だった。
これからも、熱い思いを持つ人たちに、マイクを向けていきたい。

投稿者 webmaster : 2007年09月01日 00:00|

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