一歩、踏み込むこと(2007年09月02日)

國吉 美香 (クニヨシ ミカ)
総合政策学部政策科学科
第41回「絹の道でつなぐ八王子織物」ディレクター

ゼミに入り、私は9月放送に向けて制作した「絹の道でつなぐ八王子織物」のディレクターを務めた。それまでは先輩方の作品を見ているだけで、正直なところ、自分に番組が作れるのか不安で仕方がなかった。最初は、ディレクターがいったい何をするのかさえもきちんと把握できていなかった。漠然と、編集することがディレクターの主な仕事なのだと思っていた。しかし、それは間違いだった。ディレクターは、企画を考え構成表を練る。それから取材先を回り、スケジュールを立て、当日はクルーを仕切る。実際やってみると、パソコンに向かって編集をするだけではなく、むしろ人と接することが多い仕事だった。
ところが、初ディレクターを務めることになった私は、ディレクションどころではなかった。VTRの構成では、考え込むほど何を伝えたかったのかを見失い、悩みに悩む。撮影前には、何を準備すればいいのかもわからず、あたふたと紙に書き出す。そんな時に、一緒に取材先を回って頂いたり、構成面で指摘を頂いたりと、指導して下さった先輩方には本当にお世話になった。
 今回の撮影のために絹の道を歩き、資料館を回り、多摩織物職人の澤井榮(えい)一郎(いちろう)さん(86)のお宅へお邪魔した。途中、構成表通りに撮影ができなかったり、撮影許可を取らなければならなかったりと、計画通りには行かないこともあり、VTRの制作期間も長くかかってしまった。仕事を把握しきれていないせいで、段取りも悪かったと思う。
反省点は数多くあるが、学んだものもあった。取材、撮影と回を重ねるたびに、不安よりも段々と楽しさが生まれてきたことも、その一つだ。自分が撮影を楽しんでいるという状況が、私にはとても新鮮であり、新しい発見だった。そうして得たものは、踏みこむことの楽しさだと思う。
最初は、ディレクションやカメラを使ってVTRを制作するなど、今までやったことのない作業を前に不安しか抱えていなかった。しかし、できるかどうかは、やってみなければわからない。たくさんのVTRを制作してきた先輩方にも、初めての作品があった。誰にでも、初めてはあるのだ。そのことに気づいたとき、少し緊張が解けた気がした。代わりに、何か新しいことをしているという思いが、心を躍らせた。撮影前日には、寝付けないほどの不安を抱えていたが、当日になれば不安がっている余裕もなく、むしろ不安を抱えていればいるほど、周りに迷惑をかけるのだと学んだ。
うまくいくのかわからないという思いを抱えながらも、踏み込まなければいけないときは、足を前に進める。そうすれば、少なくとも躊躇している状態からは抜け出せる。これが、今回学んだ大切なことだ。撮影に限らず、何をするにも前向きに活動するための、一つの心構えだと思う。不安を抱えていても、足を動かすことを止めずに、これからも前を向いて歩いて行きたい。

投稿者 webmaster : 2007年09月02日 00:00|

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