何かを伝えるということ(2007年06月03日)

望月 悠美 (モチヅキ ユウミ)
総合政策学部政策科学科
第38回「多摩まるかじり!!」ディレクター

桜が咲き始めた3月の終わり、私は新シリーズ「多摩まるかじり!!」を企画した。多摩の農家に「多摩まるかじり隊」と称したレポーターがおじゃまして、おいしい農産物を紹介するというとても単純な企画である。「早く映像制作がしてみたい」。そんな思いで、私はディレクターをすることになった。
企画、取材、構成、すべてが初めてのことだった。普段、農家の人に話を聞く機会など全くない私にとって、取材相手の伊藤さんが話してくれるすべてのことが新鮮であり、とても興味を引くものだった。「作っている人の思いを映像にしたい」。そう思った私は、すぐに構成表を書いた。
伊藤さんの話に感動した私が書いた構成表は、「伊藤さんってすごい!!」。それだけを伝えるものだった。伊藤さんが25年間トマト一筋でやってきたことを考えると、確かにすごい人かもしれない。しかし、私が映像から伝えたいことは、伊藤さんのすごさではない。伊藤さんを取り上げることによって社会的なメッセージを伝えたいのだ。私の書いた構成表には「社会性」が含まれていなかった。
「この映像に入れるべき社会性ってなんだろう」。もう一度、取材した内容を整理し、考えた。そして、出てきたのが「減反政策」であった。日野市でトマトが盛んになった背景には「減反政策」があった。稲作からの転作で「トマト作り」が始まったのである。「減反政策」は全国的に行われた政策である。この背景をいれることによって、映像に社会性が含まれ、より深い意味を持つものになった。
「減反政策」を調べてみると、それはとても難しくややこしいものだった。政府がよいと思って始めた政策だったが、結果的には生産者を苦しめるものであった。そんな中でも、生産者たちは「何か他の野菜を作ろう」と必死に頑張ってきた。日野市のファーストトマトもそんな生産者たちの思いから生まれ、「日野ファースト」という地域ブランドが認められるまでになった。
現在、全国の多くの市町村で野菜の地域ブランドの確立や産地化を目指す動きが活発に行われている。日野市の「日野ファースト」というように、次々と地域ブランドが生まれてくるかもしれない。「多摩まるかじり!!」という企画は今後も多摩にある野菜・果物を取り上げていく。それによって、多く人が地元地域の野菜を見直すきっかけを作っていけたらと思う。多摩での問題は多摩だけではなく、全国的な問題につながっているんだと今回の制作を通じて感じることができた。

投稿者 webmaster : 2007年06月03日 12:00|

コメント

コメントしてください




保存しますか?