働くということ(2007年03月01日)

中島 聡 (ナカジマ ソウ)
総合政策学部政策科学科
第35回「昭島生まれのシイタケ」ディレクター

「こんにゃくを作り続ける理由…要は、馬鹿なんだよ」

私は以前、多摩探検隊の取材でこんにゃく屋のご主人を取材させていただいたことがある。彼のこの言葉を聞いたとき、「ニューシネマパラダイス」という映画のワンシーンを思い出した。映画技師であるアルフレードが、映画技師を目指すまだ小さいトトにこう言うのだ。

「やめとけ。こんな仕事は馬鹿じゃないとできないぞ」

お金にならない、フィルムが燃えて火事になるかもしれない、暑い作業場は辛い、彼はこうした映画技師という仕事の厳しさを伝えたかったのだろう。しかし、トトが疑問に思ったように、私も同じように感じたことがある。彼は辛いにも関わらず映画技師という仕事を続け、しかもその姿は楽しんでいるようにみえた。

そして今回、私がディレクターとして携わった「昭島子ども放送局」のVTRを試写した際に、私ははっとした。今回の昭島子ども放送局は、昭島で唯一シイタケを作っている農家を取り上げている。もともとシイタケを作っている農家は昭島で10件ほどあったが、現在では今回取り上げる農家1軒となってしまった。ご主人はシイタケ作りを続ける理由をこう語っていた。

「手間はかかるし、馬鹿だから続けてられるんだよ」

シイタケ作りはまず、チェーンソウで木を切り倒す。数百本もの木を切り倒す作業は体力のいる仕事で辛い。切り倒した後も、木の腐らせ具合など微調整が必要で、普通の農作物を作るよりも手間もかかる。その上、大きな収入は見込めない。それでも続けているのだから、やはりご主人は馬鹿なのかもしれない。

こんにゃく屋のご主人も映画技師のアルフレードも、そして今回取材させていただいたシイタケ農家の方もみんな「仕事馬鹿」だった。でも、私が見てきた「仕事馬鹿」はいつも輝いていた。なぜ彼らが馬鹿を続けているのか、そのちゃんとした答えはもう少し多摩探検隊にいなければ見つからないのかもしれない。ただ、私もいずれは馬鹿でないとできない仕事をしたい、そう思った。

投稿者 webmaster : 2007年03月01日 12:00|

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