多摩探検隊とムササビ(2006年06月02日)

平澤 恵梨 (ヒラサワ エリ)
総合政策学部政策科学科
第26回「多摩の野生動物ムササビを探せ!!」プロデューサー

シッポの長い猫のような、また座布団のようなモノが夜空を飛んだ。ゆっくり、ふんわり、静かに。私はそれを見た瞬間、言葉を失った。生まれて初めて見た光景だった。
空を飛ぶ「ムササビ」という哺乳類が高尾山にいる。そう聞いて驚いた私は、カメラにおさめたくなり、企画書を作成した。多摩探検隊で、新しいことに挑戦してみたい、今しかできない若者らしいものを作ってみたいという思いもあった。1年生チームとしての初の試み。それは、冬の寒さが本格的になる12月のことだった。
撮影対象が野生動物であるため、簡単には撮影できないだろうと思っていたが、予想以上に困難だった。肉眼でムササビを見つけることさえ苦労したのだ。カメラにおさめるなど、もってのほかだった。夜の高尾山に通い続けて、気づけば10日が過ぎていた。その間、雪が降ったり、イノシシの鳴き声が近づいてきたりと、ハプニングが続出だった。それでも私たちは通い続けた。それは、初めて見た時の言葉を失うほどの感動が根底にあったからだ。ディレクターの私だけではなく、チームのみんなも同じ想いだった。
探し始めて11日目。この日も寒さが身にしみる日だった。ついにムササビを発見。慎重に、慎重に後を追う。見逃さないように必死だった。懐中電灯の光だけを頼りにカメラを回した。そして、ついにムササビの姿を捉えることができた。私は一心不乱にカメラを回していたため、その時はしっかりおさまったかどうかわからなかった。後に確認したところ、かろうじて映っていた。残すは編集だけ。ゴールはすぐそこだと思った。
しかし、ここからが大変だった。編集をして、ゼミで上映する。何が面白いのか、何に苦労したのか、何を伝えたいのか。それがゼミ生には全く伝わらないのだ。事前に構成をしっかり立てずに撮影をしたことが原因だった。追加撮影のため、リポーターと何度も高尾山へ足を運んだ。通算30回は行ったかもれない。自分だけでなく、他の人にまで苦労をかけてしまい、自分だけでは前に進めないことが、情けなかった。自分の想いを伝えられないことがこんなにも悔しいものだとは思わなかった。なぜ伝わらないのかと、葛藤する毎日。完成の兆しが全く見えず、投げ出したいと思ったこともあった。しかし、野性のムササビを初めて見た感動を伝えたい。たくさんの人に協力してもらい、それを裏切りたくない。その思いが諦めずに編集を続けた原動力だった。
放送月を2ヵ月延ばしてもらい、やっと完成した。撮影を開始して半年が経っていた。最後まで協力してくれたリポーター、ゼミ生、先生の力がなければ、完成は出来なかった。本当に感謝したい。この作品を通じて見た人が楽しみ、笑ってもらうことが私の本望である。難しいことは考えずにただ楽しんでもらいたい。多摩探検隊のムササビのVTRから、小さな幸せを運べたらこの上ない喜びとなるだろう。

投稿者 webmaster : 2006年06月02日 12:00|

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