感動の伝え方(2006年04月01日)

山本 恭子 (ヤマモト キョウコ)
総合政策学部政策科学科
第24回「ありがとう~スポーツ特集~」ディレクター

第24回多摩探検隊で放送された「ありがとう~スポーツ特集~」は、10分間の番組のなかでたった2分20秒ほどの映像ですが、私がディレクターを務めた作品です。「ありがとう」というのは、多摩で暮らす方々に、カメラに向かって感謝のメッセージをお話していただく、という企画で、多摩探検隊ではおなじみのコーナーとなっています。この「ありがとう」が私にとって初めての放送を意識した映像製作でした。放送に耐える映像を作るとはどのようなことなのか、経験の無い私には分かりませんでした。そこで実際に作りながら身に付けていこう、と考えて取り組みました。

取材に向かったのは、聖蹟桜ヶ丘駅からバスで数分のところにある多摩市立総合体育館です。初めての撮影では、カメラの操作、室内での光の調節、音声の録り方など、経験不足による失敗を重ね、半日かけて録画した映像がまったく使えないという結果に終わってしまいました。このような失敗があると、せっかくカメラに向かってお話をして下さった方々に大変申し訳なく、悔しさが募ります。しかし、そこでくよくよと落ち込んではいられません。気を取り直して次に行った撮影では、八十代という高齢でありながら驚くほど機微な動きで卓球を楽しむおばあちゃんからのメッセージなど、スポーツにいそしむ人ならではの明るく元気なメッセージを撮影することができました。

そして私は、この総合体育館内で撮った映像だけを使って2分30秒ほどのVTRを制作しました。すると、先輩方から「体育館のPRビデオのような印象を受ける」との意見が出されたのです。そのような批評から、自分が作った作品を客観的にみつめて、考え直すきっかけをつかみました。そのままでは体育館の印象が強すぎたのです。私がこの「ありがとう」を作る目的は何だったか。それは、明るく楽しいVTRで観た人を笑顔にすることでした。すでに何日もかけて制作したVTRだったのですが、初心に帰ってもう一度しっかり当初の目的を意識して構成をやりなおそう、と決心しました。

映像に新しい息吹を求めて体育館という室内を飛び出し、向かった先は多摩川の河川敷でした。そこでサッカーをする方々や、ランニングをしている方々などに声をかけてインタビューをしました。雲ひとつ無い真っ青な空の下、広々とした土手でカメラを構えながら、この日の清々しさをテレビ画面から伝えることができればな、と考えていました。

その後、河川敷で追加撮影した映像を含めて、観る人が笑顔になれるVTR作りを念頭に置いて全体を再構成し、出来上がったものが今回の「ありがとう~スポーツ特集~」となりました。この制作で学んだことは、放送に耐える作品とは制作者の自己満足ではなく、取材して得た感動を視聴者の方にうまく伝えるために、感動を客観的に捉えて構成を工夫しなければならないということです。私の作った「ありがとう」を観て、誰かが笑顔になっていてくれれば大変嬉しいです。

投稿者 webmaster : 2006年04月01日 12:00|

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