「ありがとう」という大切な言葉(2005年09月01日)

Chieko Katsumata勝又 千重子 (カツマタ チエコ)
総合政策学部国際政策文化学科
第17回「ありがとう~敬老の日~」ディレクター

「ありがとう」という大切な言葉。あなたはどれぐらい出会っていますか?

私にとっての初ディレクター作品、『ありがとう』。その企画を練っている時何気なく後輩に、「誰にありがとうって言ってみたい?」と聞いた時のこと。答えではなく、「ちえさんは誰にありがとうを言いたいんですか?」という言葉が返ってきた。

正直、少し戸惑った。すぐに思い浮かばなかったのだ。その頃の私の毎日と言えば、学部での普段の勉強に加えゼミ、アルバイト、サークル、毎日家に着くのは時計が次の日を刻む時間。充実はしていたが、息をつく暇がなかった。今でもその生活リズムは変わっていない。しかしそれに気づいた時から、私の毎日は少しだけ変わった。

朝、眠い目をこすりながら大学の中を歩いていると、必ず友達が「おはよう」と声を掛けてくれる。その笑顔で今日も学校に来て良かったなと思える。心の中で「ありがとう」と言ってみる。たったそれだけのこと、少しだけ余裕を持って考えると素敵な気持ちになる。そんな毎日の中、私が作りたい作品がどんどんイメージされていく。「見た人が思わず誰かにありがとうと言ってしまいたくなるような作品」。私が目指すべきものは、もうそれしかなく、それが「ありがとう~敬老の日~」だった。

次の日曜日。私は、緊張と期待で胸をいっぱいにさせ、多摩センターの京王線の改札の前にいた。カメラと三脚は、ずしりと重い。メンバーが集まると、さっそく撮影がはじまる。始まってすぐ、目の前を白い犬を連れたおじさんが通る。確実に立ち上がったら私より大きいだろうと思われるその白い犬は、のそのそと堂々とした風格。その瞬間、私の脳裏に「この犬は老犬なのでは・・・」という考えが浮かんだ。
交渉はスタートした。
一人目の撮影。その犬は思った通り老犬だった。おじさんは犬と過ごした毎日を楽しそうに語る。思わずこっちまで楽しくなる。これが取材の魅力なのだろうか。声をかけなければ絶対に聞くことの出来ない「ありがとう」を撮影が進めば進むほど聞くことができた。

しかし、それほど簡単に撮影が進んだわけではない。撮影も終盤にさしかかった頃、インタビューに答えてくれる人が少なくなってしまった。
その時、私が思い出したのは、スーパーで試食のアルバイトをしていた時の事である。コツはたくさんあるが、最後は一生懸命に自分の思いを伝える事。その方法で何度も商品を完売させた。
 「今こそ、その根性を」。高鳴る胸の鼓動。

足早に歩いていた女性に声をかけてみる。「このコーナーを見た人が、見た時に何か感じて、近くにいる人に思わずありがとうって言ってしまうような番組を作りたいんです。是非カメラの前で一言言ってください!!」
それまで、足を止めてくれなかったおばさんがこのセリフを言った瞬間、足を止めてくれた。思いが通じた瞬間だった。彼女のインタビューはこの「ありがとう」の最後をしめくくるものとして収められることになった。

多摩探検隊の名物コーナーとなりつつある「ありがとう」企画。「今回は、いつもと違った雰囲気だね。良い作品だね。」と、言われたくて、頑張り抜いた。苦労も今では良い経験になったように思う。この企画に賛同して協力してくださった皆様と、私を一回り大きくしてくれたこの作品に、ありがとうと言いたい。この「ありがとう」の輪がたくさんの人に伝わる事を願って。

投稿者 webmaster : 2005年09月01日 12:25|

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